勤めの仕事を終え帰宅し、夕食を済ませると、毎日のように放送している刑事もののテレビ番組を見ながら晩酌をたしなむ。そんな平凡で穏やかな毎日を過ごしている。
こんなことでいいのかと思いながらも、いつもの時刻になるといつもの行動をとっている。
ある日、テレビのニュース番組を見ていると、今年の本屋大賞が発表になり『海賊とよばれた男』百田尚樹著(講談社)が大賞受賞したことを報道していた。
へぇ〜、と言いながら聞いていると、日本人の実話をもとにした作品であること、書店員が読んでほしい作品として投票されたものが本屋大賞であることを説明していた。
そういえば、テレビやネットに依存していて、暫く活字を読んでいないことに気づき、悪人を連想させるような題名と実話に惹かれて早速購入してみた。
日本が海外に進出している時代で、物がなく大多数の国民が貧しい生活を送っていた時に、一人の男が「日本」のために動き出した。
機械化とともにエネルギー源が薪や石炭から電気や石油に代わっていくことを予測し、資源のない日本でどのようにしたら安定供給が図れるかを考え、行動に起こしていった人の物語です。
戦争という出来事の中で築き上げた財産をすべて失った時でも、私利私欲ではなく「日本の将来」といった大きな目標のために、あきらめず、人の嫌がる仕事を引き受けていった。そして、その都度、支援者が現れていた。
そう言えば、近くの出光スタンドは、ガソリンや灯油など他店より安く提供している。
以前、「ガンジー」という映画を見たことがある。エンディングに「全人類のスポークスマンである。後世の人々は、このような人物が存在したことを信じられないだろう。」と記されていた事を思い出した。
本は、読み返すことができ、文字と言葉が頭に残る。そして、想像力を育んでくれる。些細なきっかけで出会った、久しぶりの「本」は、感動を与えてくれた。
平成25年04月29日