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*** 私の体験記 *** { 登山・ハイキング編 }


◎白根山登山(平成14年9月21日)つづき

混んでいた奥白根山頂
 間もなく林を抜け、五色沼などの展望が開けてくる。ここからがまた、足場の悪い斜面がいやと言うほど続く。直登の後は、砂礫の中をトラバース気味に左に登っていくと白根神社や山頂が見渡せる平地に出る。
 なんと、2人連れやら4・5人のパーティ、単独登山者などなど、山頂近辺は50人以上の人でごった返していた。食事時でもあり、それぞれが思い思いの場所で休憩を取っている。とても、山頂で休むといった雰囲気ではなかった。神社手前の岩場で持参のチャルメラをセット、おにぎりを頬張る。この間も、ひっきりなしに人が行き交う。
 スタートは早かったがペースが遅いこともあり、予定より遅れていたため、休憩を早めに切り上げ山頂を目指す。
 白根神社から少し降りて、岩場を登り上がったところが、標高2,578mの白根山頂である。山頂は切り立った岩場の狭いところだが、ここもラッシュである。皆、考えることは同じで、看板を背にして登山の証を残すために順番待ちである。
 一人1枚限定を取り終えると、次の目的地である弥陀ガ池に向かう。紅葉シーズン前で空いていると思ったのに、何でと言いたくなる。この分だと、ピーク時には麓から行列が出来、立ち止まらないで下さいのアナウンスが流れるのではないだろうか。
 群馬県側の沼を眼下に望みながら、標識に従い急なガレ場を足下に注意しながらしばらく降りていく。降りはじめから麓まで、人が連続するような中を歩く事になるが、時折息を切らせながら這い上がる人たちとすれ違う。
 ダケカンバの林に入ると、間もなく座禅山方面との分岐になり、右に折れ少し下ると弥陀ガ池に着く。池の斜面は電線で囲まれており、注意書きがしてあった。おそらくここに、あの有名なシラネアオイが咲くのだろう、そしてシカの食害対策なのだろう。そんなことを考えながら、遅れを取り戻すために次に進む。
 緩やかな斜面を登ると、雄大な白根山が見えてきた。五色山への登りと五色沼への下りの分岐である。すぐそこに沼がある、ここまで来て沼の水に触れないで帰るのは心残りである、しかしスケジュールは遅れている、これ以上遅れると湯本に着く前に日が暮れてしまうのではないか。初めてのコースに不安もあり、やむなく斜面を登り始める。
 少し登ると平坦な広場に出る。そこからは真下に五色沼を見下ろすことが出来た。林の中を一度緩やかに下ってから急斜面を登ると尾根に出て右から五色沼の道が合流する。ここ一帯もシラネアオイが群生するのだろうか、電線に囲まれている。しばらく笹の生えた尾根道を登っていくと五色山に着く。
 五色沼分岐からは、ほとんど人には会わなくなってしまった。男女5人連れのパーティは歩き疲れなのか黙ったまま走るようにすれ違う。大学生らしき2人連れは山中泊なのか、大きな荷物を背をって元気よく挨拶をして白根山に向かった。
 白根山頂を下山する頃から雲が出始めてきて、今は薄曇り時々晴れの天気である。湯本方面からは霧が立ちこめてきて、金精峠は霧で見えない。
 五色山山頂からは、尾根伝いにすぐ前に前白根山が見えている。山頂には若い男子5人連れのみであるがのんびりと景色を楽しんでいる。私は先を急ぐ身なので、小休止の後、白根山に背を向け湯本(金精峠)方面に向かう。
 腰近くある笹の中を尾根伝いに緩やかに降りてゆく。足跡があるので人は通っているのだが、後にも前にも人の気配は全くしない。なぜか笹の中から熊が、と言った不安が心をよぎった。ラジオのボリュームをあげて歩き出す。 五色山へ分岐
 しばらくすると急な下りとなり、粘土質のp  $ なところを歩くことになる。朝の登りを思い出し、どちらが楽だろうかと考えながら降りてゆく。しばらく下ると、金精山と湯本方面への分岐になる。案内板があり、金精山付近は亀裂があり注意を要するとのこと。
 分岐を右に折れ湯本に向かうが、なだらかな道を少し登った後は、また笹の中の抉られた急な斜面を下ることになる。どうしてこれほど抉られてしまったのかを思うほど、時には身体が隠れるほどの溝を木の根に掴まりながら降りて歩くところもあった。
 急傾斜ではないのだが、足場が悪いため思うように距離をp  $ を抜けるのに2時間以上も要することになってしまった。
 朝の登りは傾斜がきつかったが、今の下りは距離が長いことできつい、ともに共通しているのは足場が悪いことである。しかし、これが本当の百名山への道ではないだろうか。ロープウェイに乗ったり、林道を車で走らせ山頂近くまで来てから登る百名山は、本当の百名山にななら無いような気がする。そんなことを考えながら、また歩き出す。
 予定時間を過ぎ、陽が陰ってくると、懐中電灯は持ってきているが闇の中を歩くようになってしまうのではないかと不安になってきた。
 やがて平坦な道に出て、枯れた沢を越えていくと、突然建物が見えた。ここを標識に従い左に折れて少し歩くと登山口に出る。
 登山口からは、アスファルト道をしばらく歩くと湯本の中心街に出る。途中に大きな白根山登山口の標識がある。こちらからのルートが王道なのかな。とも思える標識である。
 やっと始発点に着くことが出来た。我が愛車も無傷であった。
 車の中からたばこを取りだし、10時間ぶりの一服。これがまた、うまいの何の。
 しばしの休憩を取ると、あたりは夕暮れ時。ガソリンゲージはEラインまで来ている、近くで補給しないとのどが渇いた、飲み物がほしい。山頂の人混みが帰省に着く頃だ、街道は混むだろう。いろは坂は一方通行で、渋滞になっているだろう。そんな思いで、とにかく車を走らせた。
 戦場ヶ原で車を止め、自宅に電話を入れて缶ジュースを買う。ジュースを飲みながら車を走らせ、中禅寺湖畔の旧道との分かれ目にくると渋滞である。旧道を走らせ渋滞の中にはいると、しばらくは動かないだろうとエンジンを止め(環境保護と燃料節約<本音>)休憩。
 やしおの湯で、疲れた足を揉み解し本日の疲れを癒してから食事をとり、おみやげは、カステラがいいか、生湯葉、それともせんべいにするか、などと考えながら待っていると、案の定1時間ほど待たされ、辺りはすっかりと闇の中となってしまった。
 急いで降りようとも、入り口ゲートから出口ゲートまで数珠繋ぎのような状態なので、ゆっくりとブレーキを踏みながらの下りである。
 いろは坂で予想以上の時間を費やしたため、土産店が開いているかどうか不安になってきた。清滝の旧街道に入ると、まずはガソリンを補給し、温泉は次回の楽しみと先に車を走らせる。
 残念。カステラは閉店、生湯葉も閉店、せんべいも閉店、皆明かりが消えていた。仕方が無いので、今市まで走りファミレスで一人寂しく夕食を済ませ帰路につく。午後7時30分着。

コースデータをご覧下さい

 今回は、白根山登山コースの中でもハードコースを選んだわけだが、下準備が整わない中での登山だったため、下山後3日ほど正常な歩行が困難な状態になってしまった。”百名山はそんなに甘くは無い”そんな声が北の山から聞こえそうな気がする。
 でも、苦難の末の登頂は、達成感が一入である。特に、百名山と呼ばれる山(関東以北の最高峰)を制覇した充足感が漲って来るようである。
 
 最後までお付き合いいただきありがとうございました。読者の皆さんのチャレンジをご期待申し上げます。

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