平成27年10月、ノルウェーのカロリンスカ研究所のノーベル賞委員会は2015年のノーベル生理学・医学賞の受賞者を発表した。アイルランド人、中国人、日本人の3名である。
日本人で受賞した北里大学特別栄誉教授の大村智理学博士は、山梨県韮崎市出身の80歳。日本人の生理学・医学賞の受賞者は、2012年の山中伸弥医学博士依頼で3人目となる。
大村智理学博士は常に財布の中にビニール袋を入れているそうです。
伊豆半島のゴルフ場近くで採取した土の中にある菌から動物の寄生虫病の治療に効果のある微生物を発見し、アメリカ留学時の大学教授及び製薬会社メルク社の支援を受け治療薬として製品化し世界中で家畜の寄生虫駆除と病気予防に活用されている。
牛の体内には相当数の寄生虫がいて取り入れた栄養分を横取りしているが、寄生虫を駆除することで飼料代が少なく済むことと病気にかかりにくくなる効果がある。
その後、この薬がアフリカや中南米に流行している、重症化すると失明を引き起こす河川盲目症にも効果があることがわかり、博士とメルク社は奥地で言葉が通じない住民に対し無償で薬を提供することを、医者ではないが説明して歩いたそうである。今でもこの薬は、毎年2億人の患者を救っているそうである。
理解のある留学時の教授と製薬会社により博士が得た特許料収入で、研究所の建設や温泉施設のある美術館を地元に寄贈するなど、地元への恩返しであり若い人たちへの投資だと話しているそうです。
今でも機会がある度、土を採取し研究所に送っているそうです。
農家で5人きょうだいの長男として生まれ農業を受け継ぐかと思いきや、父親の英断により勉学の道に進んだそうです。大学卒業後に都内の定時制高校の教師となるが、油よごれのまま授業を受ける生徒の姿と指導力不足に感じるものがあり、東京理科大学で分析化学を学び北里研究所では微生物の研究をしてきた。
農家の長男は先祖から受け継いだ農地を守り次の代に引き継ぐといった役割があり、大村博士の年代では風習が根強く残っていたと思うのですが、父親(長男?)の思い切った決断で今があったのではないかと思われる。
母親からは「人のためになることをやれ」と言われ、これを信条として研究に取り組み迷った時はこの言葉を思い出し判断をしていたそうです。
大村博士は教え子たちに「人と同じことをやってはダメだ」、「失敗を繰り返してやりたいことをやりなさい」、「人のためになることをやりなさい」と日頃から研究者として成功するための道しるべを示し後継者育成に努めている。
農家の長男でも、ノーベル賞が受けられる。惑わされず、信念に従いしっかりと生きていれば、結果として、家族も世の中も評価してくれることを実践した人と思う。
なんと、2015年の日本人受賞者は、大村智理学博士(生理学・医学賞)、梶田隆章理学博士(物理学賞)がノーベル賞を受賞した。
かつて、同じ年に二人の日本人ノーベル賞受賞者がでた時に、小泉首相が「
大したもんだ」と二人を称えたことが蘇えった。
平成27年11月29日