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2011年 
12月号


11月号 

 
 
10月号


 

9月号


   妻恋坂
           武田裕也 
たった一つの思い
この胸に抱いて僕は走る
この坂をのぼりきるように
夏の午後 日差しが
木々の間からあふれだして
僕を強く照らしている
輝くその先に一つの道ができる
一歩一歩進んでいくと
いつの間にか君のもとへ
近づいていく
雲ひとつないこの空に
勇気に満ち溢れて
僕は走って行く
その先がみたいから
           (守城選)

8月号 

 

2011年
7月号


 

6月号


 
 
5月号

 

4月号
 
   春がそこまで
          油井 巴
急ぐ家路があるだけで十分
春はそこまで来ているよ
泣き虫なわたしが叫んだ
染まる夕日に励まされ
明日は元気になるぞと

家路を失った人たち
避難所の明け暮れに
どんな小さなことにも
喜びと希望を見出そうと
心を傾ける被災者たち

春がそこまで来ているよ
           
         (守城選)
 
3月号

   生きる         
             伊藤賢治
山ぼうしが 茂っている
白い花咲き 赤い実のなって
見上げれば 葉裏の陰に
巣が一つ もうすぐ
雛もかえる
心音も 聞こえる気のして

秋口の暑い日 枝を落とした
見た 二羽の雛を
ところが明くる日 空っぽの巣
盗られたか
親鳩が近くで鳴いている
なおの高みを 山へと急ぐ
烏が二羽
山では 子が待っているー
 
2月号
 
   笑顔
           岡嶋保之
赤ちゃんが母の懐で
コスモスの花のように
笑っていた遊園地

じーちゃんにつれられて
朝焼けの園児たちが
笑っていた通学路

セーラー服の高校生たちが
ヒマワリの花のように
笑っていたバスの中

破顔一笑 一生の
連れ合いとお茶を飲む
夕焼けの縁側
          (守城選)
2011年
1月号

    孫について 
      J   小林まもる
生きたままありがたく
死んでいたい
死んだまま美しく
生きていたい

ありえないことを願っている
欲張りな祖父がいることを
いつか孫にメールしよう

ためらいながら
なお願っている
孫に流れる時間を
一瞬とどめるのは
詩だ

「自分はこれからは
 いつ死んでもいいのだ」と
ありがたく思った
初めての出会いの日から

    
 
2010年 
12月号


 
 
11月号

 
 
10月号

   やりきれない夜は OK
             塩入よしこ
目の前で閉じられた扉
すべての人が
俯いたまま消える
夜が吐息を止め
深い闇に覆われる
夜具を額まで引き上げ
黒い夜を塗りこめる

で どうするんだね
やりきれない夜が
うすら笑いする 

O・K あした
朝日が昇ったら
勢いよくカーテンを引き
そして 流し台を
ピカピカに磨きます
重曹で
 
9月号
 
 
 
8月号

  
 2010年 
7月号


 

6月号


 
 
5月号

 
 
4月号 


  
 
3月号

   美しい風
            鹿旗人志
美しい風ってあるのかな
あった!
木々の梢を渡る緑の風
清冽な川面を走る白い風
黄金の稲穂を凪ぎる黄の風

色とりどりの木の葉を
吹き散らし
谷間を舞い
群青の河に吹く虹色の風

美しい風はわたしの心にある
”美”を照らしだす
命の息吹き
 
2月号


 
2010年 
1月号 


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