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*** 私の体験記 *** { 登山・ハイキング編 }


◎古賀志北壁に挑む(つづき)

 どうもガイドに記載されている以外のコースから登ってきたらしい。
 現在地が分からないというのは、不安とともに焦りが出てきて感も働かず判断力が鈍ってくる。しかし、そこは経験(それほどでも)が感情を抑え、獣のような嗅覚で人の道を歩いて行く。
 しばらく歩くと、右559、先富士見、手前細野の標識があった、しかしガイドには載っていない。でも道に迷っていないことが確認できた。
 また、けもの道をしばらく歩き続けるとついに進退極まってしまった。
 尾根伝いに道は走っているが、枯れ木が道を塞いでいた。人為的に施された感じがする。これは、この先行き止まりの印と思われた。
 しかし、回りを見回しても道らしきものは何処にもない。さて困った。
 戻るわけにも行かず、直進もできず、どうする。
 しばらくして、危険ではあるが、やむなく稜線を離れ下ることにした。
 緩やかではあるが雑木の生い茂った中をかき分け、積もった木の葉を踏み締めながら下って行く。少し進むと、目の前が突然開けた感じがした。
 前方左手より階段があり、尾根伝いに明かにハイキング道が視線に入った。
 急いで行ってみると、立派な標識板があった。間違いなく富士見峠である。
 森林公園をスタートしてから、2時間30分、ここまで来ればまもなく山頂である。少し休憩をとってからハイキング道を進む。程なく東陵見晴し台に出る。
 突き出た大岩があり、その上に乗ると視界は200度近く、正面にダム湖、その先に宇都宮市街が、右前方には鹿沼市街が開けていた。右後方には山頂に建てられているアンテナが目の前に迫っていた。
 薄曇りの中、遠方の見通しは良くなかったが、天気のよい日は筑波山から富士山も望めるようである。
 尾根伝いに10分ほど歩くと、古賀志山頂に出る。時刻は午前10時51分。大回りをしたことであり、駐車場から3時間ほどかかってしまった。
 アンテナを建てる時に切り開いたと思われる人工林の間から鹿沼市街を眺めながら、持参したおにぎりとラーメンを作り少し早い昼食とした。
 山頂には数人の単独登攀者や2〜3人のグループが数組訪れており賑わっていた。
 1時間ほどの休憩の後、赤岩山山頂を目指し歩き始めた。
 尾根伝いに進むと大日如来と猿田彦大神を祀った社殿があり、道中の安全を祈願し先に進む。途中、男滝明神に向かう左に折れる下り道があったが、まっすぐに進むと、切り立った岩場が進路をふさいでしまった。
 この岩を登るか回り込むか、道がはっきりとしていない。これまでの経路から、回り込むのだろうと推測して、やや不安はあったがそれらしき所を岩伝いに右に進み始めた。 すると途中から断崖となってしまい、進退窮まってしまった。
 仕方なく、少しずつ後退し、下に降りられそうなところを見計らって岩場を飛び降りた。
 尾根を外すことは迷う元とは分かっていたが、やむを得ない措置として再び尾根を目指すことにした。
 檜林を目的方向に進もうとするが、土が軟らかく思うように足が進まない、また尾根と平行して進んでいるようであるが、別の尾根に向かうように見えたので、途中から岩場を登り始めた。
 しかし、ここの岩は傾斜があり素人では手をかけるところもなく、思うように登ることができない。さらに高木のため湿度が高く、藪蚊が多い。少し休むと腕や首の回り、足などに群がってくる。
 群がる藪蚊と戦いながら、ここで負けてはと急斜面に挑む。20分ほど経過したろうか、目の前が急に開けてきた。御岳山と赤岩山の中間点の窪地が見えてきた。

つづく