会長新年のご挨拶

 新春を迎えて



                                鹿沼市文化協会 会長 鈴 木   貢

会員の皆さまは、どのように新春を迎えられましたか。
昨年は、これまで経験したことがない新型コロナウイルス禍の中で、文化協会の事業が、「できるのか」「できないのか」、
「やめるとしたら」「やるとしたら」等々の判断が連続して求められました。役員と同様に、会員の皆さまも苦悩されたことでしょう。
結果的には計画した事業のほとんどが中止、または延期され、唯一実施できましたのは福島市古関裕而記念館を訪ねた「文化協会視察研修旅行」でした。
このような中で文化協会の事業や活動に、ご支援、ご協力をいただきました皆様に心からお礼を申し上げます。
栃木県文化協会の事業であります「第74回栃木県芸術祭」には会員や市民の皆様が応募され、芸術祭文芸部門では、随筆・田多井祐美子様、小林博様、短歌・小林夏江様、川柳・善林真琴様、芸術祭美術部門では洋画・柴田重二様、工芸・大橋滋様、六角春香様、書道・渡邉司寳様が入賞なさいました。誠におめでとうございます。
 文化協会の事業や文化祭は、日頃からの修養や訓練を積んで心身を鍛えたり、技能を磨いた姿を演じたり発表する場で
す。新型コロナウイルス禍は文化や芸術の表現や発表の機会を世界的な規模で奪うという、これまでに経験したことのない未曾有のものとなりました。
コロナウイルス感染による病気に対する直接的な不安だけでなく、病気になった場合の職場や地域の目を心配する声が聞こえてきます。新聞の調査でも過半数を超える人が「ストレスが増えた」と訴えています。
また、感染予防のため「マスク着用や手洗」、「三密の回避や社会的な距離をとる」、「不要不急の外出自粛」などの要請がありました。
「不要不急の外出自粛」について誤解や行き過ぎた行動も報道されています。大変残念なことに、文化や芸術の表現を行うことや参加して楽しむことは「無駄なこと」「過剰なもの」とする考え方も散見されました。
音楽や舞踊などを演じ、観賞すること、絵画や書道、写真などの美術を創作、観賞すること、茶道や華道などの生活文化の創造や観賞、文芸の創作や観賞などの文化や芸術活動は、社会において生きがいを持って人間らしく生きていくうえではなくてはならないものです。
 文化や芸術は、豊作願う、そして収穫を祝う行事、社会の様々な困難な状況を乗り越える中から発祥し、多年にわたり伝承されてきた表現活動です。
これらは、人々にやすらぎや慰め、勇気を与えてきました。さらに、人と人の関係や社会との関りをより豊かなものにしてきました。
 今日の状況の中でも、感染拡大による不安やストレスを軽減させていくために、感染対策を徹底しながら文化や芸術の意義について思いめぐらし、一人ひとりが創造的に文化活動を推進していくことが求められます。
今後の事業や活動は多くの市民との連携、部門、団体を越えた交流などが必要です。会員の皆さまの英知を結集し、人と人の信頼を回復し、生き甲斐を感じる活動を推進していくことが重要でしょう。
昨年の経験を経て、新たな試みや工夫が生まれつつあります。
ホール部門やギャラリー部門では入場者の制限や無観客での開催、ケーブルテレビやユーチューブなどと連携した映像の放映などです。
生活文化部門では、伝統的な様式を守りながらも新たな試みや工夫による開催をすることです。
文芸部門では創作してからの伝え方に、紙媒体の通信や手作りの小冊子の発行やインターネッを活用することなどです。
全体的に共通する課題として、伝統的な様式や自ら演じ、創作すること、「実物」を基本としながら、会員との連携をはかる便りや会報の発行、情報通信技術(ICT)を活用した表現や発表の機会を取り入れていくことです。
つながりを大事にする新しい生活様式をめざして、文化協会の事業や活動を、会員が相互に協力し合い一歩前に出る事業や活動を推進していきましょう。

2021年01月01日