ようこそ えむえふ へ
体験記ページトップ
<えむえふ 表紙><私の体験談><白根山登山(1)>


*** 私の体験記 *** { 登山・ハイキング編 }


◎白根山登山(平成14年9月21日)

 趣味として山登りを始めたのはつい最近からであるが、登り始まるとどうしても頭をよぎってくるのが深田久弥が残した「日本百名山」である。 前白根から見た奥白根山
 掲載された山をすべて制覇しようと言うほどの気力があるわけではないが、紹介された名山のうち地元にたたずむものを自分の足に記憶させるのも悪くはないかと思っているのである。
 今までいくつかの山を登ってきたが、一つの山を登るには幾つものコースがある。東西南北から登るコースや最短距離を歩くコースなど、様々な人たちが切り開いてきた道が残されている。
 今回は日本百名山に紹介された山で難易度の高い(と自分では思っている)コースを選択したが、この選択が後に災いをもたらすことになってしまう。
 昨日は戦場ヶ原で初霜、初氷が張ったとの便りが届き、翌週末は日光市内で世界遺産登録のイベントが予定されており、人混みに煩わされないためには今がチャンスと準備も儘ならぬ中でスタートした。
 久しぶりの本格的な登山で興奮しているためか、目覚ましがなる前に目が覚めてしまったため、午前4時30分予定より少し早めに自宅を出発する。
 少しでも早く歩き始めたいと、山道を走り清滝に抜けた。いろは坂ゲートに着くと、4〜5台の車が車道に止まっている。過日の台風災害により第二いろは坂が通行止めとなり、第一いろは坂を相互通行にしているとは聞いていたが。ガードマンによると一方通行として、片方が完全に通り過ぎてからもう片方をスタートさせるため30〜40分待つことになると言う。
 ここでロスタイムをくらうとは。でも、仕方ないので車中で朝食を取り、公衆便所で用を足して待つこと15分でスタートとなる。冷たい風が吹き降りてくる、寒くなるか。
 スタートを切ると、皆ローリング族もびっくりするような早さでカーブを駆け上がっていった。湯本着6時15分。
 公設駐車場に車を止め、支度を整えると早速リフトに向かい出発。6時30分。秋晴れの澄み切った空気、見渡す限り雲一つ無い。
 スキー場入り口に登山者カード記載所があったが、いくつかの書籍を読んだり、このコースの経験者からのアドバイスもあり、無事帰還できそうな気がしたので素通りする。
 スキー場内は夏場はキャンプ場になっているようで、何張かのテントが設営されていた。霜が降りたというのにがんばるね。
 6時52分、リフト終点(らしき所に)着くと、その先に沢があり、手前に小さな標識があった。標識に従い沢沿いに登ってゆくと、遭難記念碑があり、昭和44年12月に多摩川大学生が遭難にあったようである。
 さらに進むと堰堤があり、旧登山道(白根沢コース)と新登山道の分岐となる。初めてのコースでもあり無理もしたくないので新登山コースに向かう。沢右岸の尾根に出て、急傾斜の登りとなる。少し進むと左手になんとリフトらしきものが見えてきた。ここが本当のリフト終点である。しかしコースタイムからすると、不可能な場所なのでリフトが後から新設されたのだろう。
 勾配の急な林の中を、ただひたすら登る。時折、木の根や立木に掴まりながら這うようにして登る。途中、単独行の2人に追い越された。うんざりするほど登った頃に稜線に着く。8時36分。
 早くも足に疲労が来ていた。

ここでひといき
  稜線に出てひと息
 稜線に出たところからは、暫く平坦な道が続く。しかし、足が思うように前に進まない。10歩、歩いては1休み、と言った具合である。先は長いあわてることはないと、ゆっくりと進むことにした。
 唐松とダケカンバの林の中を歩いてゆくと、間もなく旧道との合流地点になる。ここから少し登り上がると天狗平に着く。
 また少し、緩やかな斜面を登ると遠方の山々が飛び込んでくる。後は、尾根伝いに平坦な道を進むと前白根山である。
 前白根山頂は、砂礫で360度見晴らしがきく。目の前には奥白根山が覆い被さるようにそびえ立つ。眼下には五色沼が、左手遠方には中禅寺湖が見える。木の葉も幾分黄色に染まっている。この光景には今までの疲れを吹き飛ばしても余りあるものがあった。
 奥白根山頂には、数人が登頂している様子がうかがえる。五色沼にも4・5人が休んでいるようである。しばし、絶景を楽しんでから、奥白根山に向かうため下山する。
 途中、ソーラー発電による大気汚染の観測施設がある。なるほど。ここからは尾根伝いに平坦な道となる。途中から標識に従い右に折れ、林の中を急降下で五色沼避難小屋に向かう。2人連れの2組とすれ違うが辛そうだった。
 暫く降りていくと避難小屋の真後ろに出る。避難小屋は背の高い平屋造りで、中は2段ベットのような構造になっている。毛布、シュラフ、鍋類が置いてあり、水場も近くにあるためコンロと食材があれば泊まることが出来るようである。
 避難小屋からは、2つの山に挟まれた草原のような場所を緩やかに登り、標識に従い右に折れ、林の中の岩場を登り始める。この辺りから賑やかな話し声があちこちで聞こえ始まる。
 疲労の極限に近づいている足に鞭を打って、杖で支えながら足場の悪い急傾斜をひたすら登る。驚いたことに3〜4人連れのグループがひっきりなしに降りてくる。早くもこんなに登っていた連中がいたのか、おかげでこちらは寄り多くの休憩を取りながら登ることが出来たのだが。

つづく